譲渡の準備シリーズ「調剤実務編①」です!
今回のテーマは
棚卸しです。
・・・え?
・・・関係あるの?
と、思った方も多いと思います。
実はかなり重要なポイントなんです。
棚卸しが重要な理由
会社の信頼性を大きく左右させる
何気なく棚卸しをしている方が多いかと思いますが実は、棚卸しほど財務諸表に直接影響するものはないんです!もちろん、日々の売上、経費の使い方で数値は変わります。ただ、棚卸しは1発で決まってしまう恐ろしさがあるんです。
影響を与える会社の数値
損益計算書—「仕入原価」
当然のことですが、株価算定において利益の実績は非常に重要で、かつ非常に影響を与えます。その利益実績が信頼できないと判断されれば、株価の減額は免れないでしょう。
貸借対照表—「棚卸し資産」
こちらはモロに影響しますね。実在庫よりも多く計上されていたら、純資産が変わってきますので株価の減額修正がほぼ入ります。逆に実在庫よりも少なく計上されている場合もありますが、その時も株価を増額修正することが多いですが、会社の数値としての信頼性は落ちますので、わかっているなら元からしっかりやっておくべきでしょう。
ちなみに
譲渡の直前には、ほぼほぼ棚卸しをします。前月やってたとしてもします。譲り受け側のチェックのもと行います。 従業員さんにとってはとても負担ですね^^;いざ、本番では今までのやり方を変えてやることは難しいと思うので、日頃からしっかりとした方法でやっておきましょう。
抑えて起きたいポイント
それは、しっかり管理できている会社が非常に少ないことです。逆を言えば、しっかりできているだけで会社の信頼性がグッーンっと上がるわけですねー。
理想の棚卸しは?
方法・ポイント
マニュアル化
誰がやっても同じ数値になる必要があります。複数店舗ある場合は人が移動してもスムーズに作業でき、正確な値がでるようマニュアル化しておきましょう。また、マニュアルを示した書類も用意して起きましょう。
記録の保管
重要なのは、数えるときに使ったメモ等も残しておくことです。そこまで、注意深くチェックする譲り受け側の方もいるのです。かさばってしまいますが、1年分は残しておきましょう。
中には税務署から、棚卸し時に使った資料を保存しておくようにと指示がある地域もあるそうです。いづれにせよ、保管しておく価値はあるようです。
時期・期間
年2回
これは年に2回している大手調剤が多いからです。中には、毎月行なっている会社もあります。従業員さんの負担も考え、年2回が理想化と思います。実のところ、年2回行なっている会社も少ないです。
決算期月とその半年後
年2回やるなら一般的な日取りですね。
よくある悪い棚卸し
従業員にお任せパターン
譲渡する前に、譲渡側と譲受側とで面談があるのが一般的です。その時に、オーナーが棚卸し状況を把握していないのは印象が良くありません。全体把握をしておきましょう。
理論値で算出
在庫システムが発達した現在、理論値で在庫が求められる事があります。ですが、あくまで理論上の値ですので棚卸しは実際に存在する在庫の数を数えて下さい。
予製剤を無視
在庫としてあるものは、必ず数える必要があります。他をしっかり数えた信頼が水の泡です。
複数回に分けての棚卸し
複数回やる事がいけない事ではありません。忙しい店舗ですと、2日間に渡って行うこともあるかと思います。管理が甘いとよくないのです。管理が甘いとダブルカウントやカウント漏れが発生します。マニュアル化するなど、しっかり数えられる体制を整えましょう。
従業員への伝え方
ここまで棚卸しのポイントをお伝えしてきました。なんとなくはご理解いただけたかと思います。
しかしっ!
実際にやるのは従業員で、これを読んでいるオーナーさんでない場合がほとんどかと思います。(オーナーさんが人一倍頑張っている薬局も私は知っていますが^^;)
そこで、今まで効果的だった従業員への伝え方をご紹介します。
方法①マニュアルを作ろう
上でも述べましたが、棚卸しのマニュアルを作ることをきっかけに棚卸しの重要性を伝える方法があります。自発的な行動が現れる事に加え、全店舗の従業員意識も変えられます。また、マニュアルが出来上がることで会社そのものの質も高まり、非常におすすめです。
方法②税理士からの指摘
税理士の先生から指摘があったと従業員にお伝えする方法です。先生ご本人からのご指摘が一番効果があるかと思いますが、間接的でも十分効果は見込めます。
さいごに
改めてではありますが、棚卸しは会社の信用度を左右させるほど大事な業務です。上で述べた理想の棚卸しをすぐにでも行うことをおすすめします。