【必見】処方せん薬の金額を下げる方法

【分析】調剤薬局のM&Aは国民医療費を下げている

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同じ事を繰り返していると、大事なものが目の前にあってもぜんぜん気付かない。ってこと、よくあると思います。

 

今回の話もそれに近いんだと思います。

 

 

 

これまでの記事を見て頂いておわかりの通り、普段「薬サポ」は薬局関係の仕事をしています。その通りなんですが、実は他の職種の仕事もしていたりして、先日、病院のM&Aに取り掛かることになったんです。これまでも病院案件は携わっていたのですが、今回の病院案件はいつもとなんか雰囲気が違くて、いろんな気付きをくれるんです。

 

そんな中、気付いたものの一つが今回のお題です。

 

 

 

ん?薬局M&Aって、
国民医療費下げてない?

 

 

って、話です。

なんだか、

 

自分の仕事は世のためなんだ!

意味だってちゃんとあるんだ!

社会貢献だってしてるんだー!

 

って自分を正当化してるような話になりますがお付き合い下さい(笑)

 

下げている根拠

薬局の転職をした事がない人にはピンと来ないことかもしれませんが、薬局の調剤報酬点数って、所属するグループ会社の規模によって差がつくような制度になっているんです。

 

買収されると点数が下がる
(条件:集中率85%以上 *1)

 

わかりやすい例を挙げると、受付枚数も同じで真横に並んでいる薬局だったとしても、所属するグループが大きいか小さいかで、患者さんが支払う金額が変わる仕組みになっているんです。

 

そして、グループ規模が大きくなるほど患者さんが支払う金額が低くなる仕組み(下図参考)になっているのです。そしてM&Aは基本、大きい会社が小さい会社を買いますから、M&Aをすることによって小さい会社が大きい会社になり、算定できる点数も下がるという理屈です。

 

ここから、少し細かい話になりますが、調剤報酬点数のうち、「調剤基本料」ってのが直に影響を受ける項目で、下の図みたいな点数構成になっています。(集中率85%以上の薬局のみに掛かる話です。)

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M&Aをすればするほど右の括りへ

 

ご覧の通りなんですが、同じ処方箋枚数、同じ集中率だったとしてもグループの規模によって算定できる点数が異なっています(図の上の方)。

  • 41→20
  • 41→15
  • 25→20
  • 25→15
  • 20→15

 

見る限り、41点が15点になってしまうところが最大のマイナスかと思います。1点は10円なので、実に260円も差が出るんです。ここでは詳細を省きますが、260円って通常、利益の約1割にも及ぶ金額なので、結構なインパクトがあるんです。

 

大手調剤って、なかなか大変な時代を生きてるんだなーって事がわかるかと思います。と、いうことで国民医療費を下げている根拠でした。

 

 

いくら下げるのか

さてさて、下がる単価はわかったものの、実際どのくらいの金額下げているかの話をします。

平均的な薬局を例に出すべきだと思うので、僕の感覚値ですが、月1,000枚の処方箋を応需している薬局を例に取りたいと思います。

 

月1,000枚の場合

結論・・・年200万円

年間で200万円も下げる事になるんです。これは1店舗での話ですので、減算対象となる薬局が10店舗ある会社がもしM&Aされた場合、年間2,000万円も 下げる事になるんですね。結構大きい額ですよね。

ちなみに計算根拠は次の通りです。

計算根拠

前の段落で1枚につき260円下がると書きましたが、考慮しなければならない項目がもう一つあります。それは薬剤服用歴管理指導料(以下「薬歴管理料」)です。実はこの項目、M&Aすることによって点数が上がります。

 

全体のイメージとしては、大きな下げと小さな上げで結果、そこそこ下がるという話です。

で、薬歴管理料はいくら上がるのかと言うと1枚あたり、約70円上がります。ただし、この薬歴管理料は受付につき毎回算定できるわけではないので、薬局それぞれで異なります。だから「70円」という数字はあくまで概算です。次に、どう求めたかに移ります。

薬歴管理料の差額の求め方

一般的な薬局の算定割合

 

 

M&Aされる前(小さい会社)


※左は算定点数で、右は算定割合。

00点:10%

41点:60%

53点:30%

 

M&Aされた後(大きい会社)


00点:10%→00点:10%

41点:60%→53点:60%

53点:30%→53点:30%

60%×(53-41)×10円=72≒約70円

と、いう事で70円としました。薬局によって割合は異なりますので一概には言えない数値であるということはお忘れなく。

 

さて、最後に合算してみたいと思います。

調剤基本料で△260円

薬歴管理料で➕72円

合計で△192円

 

△192円×1,000×12=2,304,000円

という事で、

一つの薬局につき

約200万円/年

国民医療費を下げている事になります。

 

 

薬サポの考察

国としては薬局業界を「薄利多売」の方向へ持って行きたいんだと思います。「大手チェーンは店舗拡大するのもいいけど、質も高めてね。個店薬局よりも効率的にできるでしょ。あと、スケールメリットによる利益もあるらしいし、個店ほど技術料は必要ないよね。そうなると実はみんなハッピーよ。」って、いう国からのメッセージなんだと思います。

 

 以上、「薬局M&Aは国民医療費を下げている」でした!

 

 

 


 

 

 

 

 *1:処方箋集中率でみる薬局の分布

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