【必見】処方せん薬の金額を下げる方法

【業界初】薬局M&Aの価格相場・メリット・必要期間を説明します

薬局の全経営者が気にするであろう薬局のM&Aについて、価格相場、メリット、必要期間をまとめました。

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薬サポ(YakuSapo)のページへようこそ。現場経験のある薬剤師であり、M&Aや立直しの実務を主な仕事としている薬サポが説明します。

すぐに薬局価値の試算をしたい方はページの最後に飛んでみて下さい。

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価格の相場

最も気になるであろう譲渡の価格/金額の相場から説明します。

単に「薬局」と言っても様々な大きさの薬局があるはよくご存知かと思います。その薬局の違いを表すのによく使われるのは「売上高」であり、1店鋪あたり年間3,000万円〜10億円というように大きな開きがあるのが事実です。このように個々の薬局で大きな価格の差があることから相場は◯◯◯万円!というような表現は難しいのが実情です。

そこで、用いられるのが「相場計算式」であり、会社の規模によって譲渡価格が決まります。今回はそれをご紹介します。

相場計算式

譲渡価格=
営業利益3〜5年分 純資産

 

いきなりですが計算式です。式を見る限り、薬局市場は3〜5年で回収できる投資をする市場(業界)であるという事なんだと思います。企業の評価方法としては、主にDCF法、配当還元法、類似会社比較法、市場株価平均法、簿価純資産法など様々ありますが、結果として上で紹介する計算式で求めた試算額辺りに譲渡額が決まる事が多いため、1つの式のみを紹介しています。

営業利益について

ここからは式を分解して説明していきます。式で使う営業利益は、単に営業利益の事ではなく適正な金額に修正した営業利益の事です。毎年会社で取りまとめる決算書の営業利益がベースになるのは間違い無いのですが、決算書の数値は税金対策を意識したものになっていることが多く、適正な営業利益を示していないことがほとんどです。

そこで次は、適正な営業利益の求め方を紹介します。ちなみにここでいう営業利益って年間のことを指すのでお忘れなく。

適正な営業利益の求め方

結論から言うと、適正な営業利益とはその会社が本来生み出せる利益のことです。誰が見ても真っ当な経営をした場合に出る営業利益がそれに当たります。

子供ような心で経営

 

具体的に言うと、節税目的の経費を省き、社長個人経費を除き、違法行為にかかる経費を除き、社長を含めた取締役の役員報酬適正化をするだけです。

もっと具体的にいうと、以下の通りです。

節税目的の経費とは

節税目的の経費とは、法人税を抑えるために使う本来の業務に必要のない経費を指しています。つまりは、無くても問題ない経費のことです。例えば、以下の通りです。

  • 生命保険契約等
  • 中退共※1
  • 倒産防※2
  • 不要な宣伝広告費
  • 無駄な消耗品
  • 資産の評価損
  • 不要な賃借
節税のための経費は他にも無数にあります。顧問税理士等がアドバイスしてくれているケースも多いので、税理士に確認してみるのも良いかもしれません。無くても問題ないという目線で考え、該当する場合は除いてみてもいいかもしれませんね。

社長の個人経費とは

これは説明しなくてもわかることだと思いますが、念のため説明します。会社本来の適切な利益を知りたいわけですから、社長個人もしくはその家族にかかる費用を会社で落としている場合、すべて除きましょうって話です。例えば、以下のものが個人的に使っている傾向があります。

  • 会食費
  • 会議費
  • 接待費
  • 個人車にかかる保険
  • ガソリン代
  • 自宅の水道光熱費等
これは、会社や業務に関係ないものという目線で考えてみましょう。
何の資料を見れば良い?
  • 総勘定元帳

違反行為にかかる経費

あってはならぬものですが、依然として見受けられる経費です。この経費があると譲渡すらできない事もあるので、除くというよりか、すぐに止める事をオススメします。具体的に言うと、医師への金銭バックです。多額の接待をしていたり、多額のお中元やお歳暮など、間接的に行なっている金銭バックも対象ですので特に注意が必要です。

じゃあ、いくらぐらいが多額なの?って話になりますが、普通の感覚から逸した金額という事ではないでしょうか。接待で何十万もかかるのは異常だと思いますし、お中元やお歳暮で10万円越えたら、異常だと思うのが普通なんじゃないかなと思います。何したらこんなにお金がかかるんだ?って感覚でいいんだと思います。(って、その感覚は人にもよるんですけどね^^;)

役員報酬の適正化

実はここが1番確定しづらいところだったりします。状況によって考え方が変わるのですが、社長が薬剤師で、かつ現場に入られている方の場合は年600〜700万くらいが適正だと思います(一般の管理薬剤師と同じくらいです)。

現場には入っていないが統轄する役割があり場合は500〜700くらいでしょうか。ここで注意なのが、自分はいなくても現場は回るから役員報酬を全額除く考えを持つ方が多くいらっしゃいますがそれは、辞めたほうが良いです。社長は何かしらの役を必ず果たしていて、辞める場合でも代わりとなる人は必要になり、最低でも500万の人が必要と考えたほうが無難かもしれません。

一方で、名前だけ入っている役員で、辞めても本当に影響がないような方がいる場合は全額除いても問題ないかと思います。ただし、本当に影響ない場合の役員ですので、ご注意ください。

お気付きの方もいるかと思いますが、この「相場の公式」、社長の判断で調整が効きます。というのも、役員報酬を低くする事で営業利益が上がり譲渡価格は上がります、反対に役員報酬を高くすれば営業利益は下がり譲渡価格は下がります。ですので、調整する事で少しは自分の理想に近づけられるって訳ですね。

以上のように、簡単に見えて多くの調整項目があるのがわかったかと思います。適正な営業利益を一度、割り出してみてはいかがでしょうか。

あなたの会社は3?4?5倍?

さて、適正な営業利益が出たところで、次に気になるのは掛け目だと思います。やってみてわかりますが、3倍と5倍って相当違います。年間営業利益が2,000万円だと、6,000万と1億!当たり前ですが営業利益が大きほどその差は歴然となりますね。

試算するなら4倍で

 

そこで気になるのは、掛け目の変わる要因は何か?って話ですが、これこそケースバイケースで、感覚論になってしまうのですが、譲受側の積極性だと思います。私の肌感覚ですが、通常は4倍くらいなのではないかなと思っていて、絶対に欲しい!となれば5倍は簡単に出ると思いますし、それこそ、5倍を越えた掛け目もあり得ます。

反対に、欲しいけど問題を抱えてる場合やどこか不満や不安がある場合は3倍となってしまうこともしばしあるかと思います。例えば、処方元の医師が高齢だったり、高齢な従業員ばかりだったり、患者が毎年減っていたり、人の確保が厳しいエリアだったりと、将来も今の状態が続くのかを意識したリスクを重視します。市場としては、自分が思ってもいない部分をリスクとみなされるケースもかなり多くなってきたという印象があります。自分の会社の価値は高いはずだと思いたくなるのはわかりますが、思いもよらぬリスクが潜んでいるかもしれないと考える方が吉かもしれません。と、いうことから自分で試算する場合は4倍として考えた方が、その後のショックも少ないかと思います。

純資産ってナニ?

これもほとんどの方がお分かりだと思いますが、念のため説明します。決算書の貸借対照表(バランスシート/BS)をご覧下さい。

純資産は、会社の総資産から負債を引いたものです。わかりやすく言うと、身の回りのもののうち、返すべきものを返した残りの金額です。

純粋に自分のもの

 

また、営業利益の考え方に同じく、純資産も適正な純資産にします。純資産の適正化は時価に直すだけです。例えば、土地。決算書(簿価)には土地購入時の価格が記載されていると思いますが、今現在の価格に直す必要があります。

どこの業界も同じような傾向ですが、店舗展開や新規事業など投資を考えている会社には多くの純資産がある傾向にあります。理由は、新規出店を実行するためには多額のお金が必要で、その時のために会社に貯めておく必要があるからです。反対に店舗展開を考えていない会社には純資産はあまりない傾向があります。会社に貯めておく必要もないですし、貯めるだけで税金かかりますからね。売上高の2割くらいは欲しいところですね〜。
調剤薬局M&A | 高く売るコツ | 1000万も差が出た話

一度、冷静になろう

ここで少し休憩です:ここまで読まれた方は譲渡価格を試算してみた方も多いのではないかと思います。思ったよりも高い値が出た方、低い値が出た方いろいろだと思いますが、一度冷静になれる方法をご紹介します。それは、相手の立場になってみるという方法です。とっても簡単なことです。

あなただったら、
自分の会社、その価格で買いますか?

 

もし、あなたが第三者の買い手だとしたら、今試算した譲渡価格で買うかを自分に問いかけてみて下さい。どうでしょう?意外と高いと思いませんか?大事なのは周りの話や自分が知っている情報との違いではなく、自分の中の感覚です。高いな〜、自分だったら買わないな〜と思うようであれば、目線はもう少し低くてもいいのかもしれません。

反対に低いと思われた方は、自分の会社を振り返ってみるいい機会かもしれません。相場は未来のリスクを反映した考えで成り立っていますので、低い試算結果となった場合は、もしかすると将来性が低いということを示しているのかもしれません。一方で、試算が低く出てしまう他の理由も隠れている場合もありますので、研究するか誰かに相談してみるのもいいかもしれませんね。

薬局M&Aのメリット

皆さんご存知の通り、M&Aには売り買い双方の立場があり、立場によってメリットも違います。また、立場によって考え方が大きく異なりますので、その点を理解する事でメリットも理解しやすくなるはずです。と、いうことでまずは売りサイドから参ります。

売り手・売主サイド

売主さんの根本にある考えは、自分に何かあったらどうしようという不安です。ということから、特に従業員や家族の事を1番に考える方が多いです。※お金目的の方も中にはいらっしゃいます。

後継者不在の問題解決

M&Aにおける売手の最大の価値はここにあると思われます。会社、従業員、顧客、家族、役員の将来を確保する事ができます。

よくある相談を1つ紹介します。「突然社長が亡くなり、奥さんや子供がいきなり相続人になったがどうすればよいか?」という質問です。このような状態になると非常に手間がかかります。奥さんや子供が薬局関係者でなかった場合は尚更です。薬局の管理も今後ずっとしなければなりませんし、相続税も払わなければなりません。他にもたくさん手続きがあるのです。こうなってしまう可能性がある薬局経営者は実はたくさんいます。上の例を参考に、未来を想像してみるとこのメリットは本当に大きいメリットと感じる事になるのではないかと思います。

創業利益の獲得

それまで築き上げて来た価値に対するお金が得られます。ここをメインに考えている人は比較的少ないのですが、お金が得られます。

業務負担の軽減

調剤薬局の社長は現場に入っている方も多く、従業員と変わらない忙しさで働いている方もおります。人に譲る事でその負担から離れる事ができます。

現場に入っていない社長でも、薬剤師の確保に苦労していて、その負担を取るために譲渡する方も多くおります。

ケースによって、メリットは様々です。M&Aする事で何が変化し、自分にどうメリットになるかよくシミュレーションしておくと良いのかもしれませんね。

買い手・買主サイド

買い手さんの考えとしては、従業員や家族の事も考えていますが、どちらかというと自分の野心や野望を追うための考えが強いのかもしれません。少し聞こえは悪いですが、野望を叶える事は結果的にみんなの幸せに繋がっているので、問題ないのだと思います。あと、みんなが幸せにならない規模拡大なんて実現しません。

時間の獲得

M&Aのほとんどは、もう出来てる・成熟しているものの売買です。よって、新規で開局して成熟するまでの時間を買うのと同じ事になります。ゼロから始めると成熟すらしないかもしれませんし、時間をかけることは問題が起きるリスクとなります。

競合の消失

ビジネスにおいて、敵が味方になってもらえるほど嬉しい事はありません。医薬分業がピークを迎え、新規出店すらできにくくなった今となっては、事業を拡大していきたいと考える会社にとって大きなメリットになるでしょう。

ノウハウの獲得

ホットな話題として、在宅のノウハウが挙げられます。在宅の実務もそうですが、在宅を始める際の新規契約獲得ノウハウも含まれますので、これから在宅医療を拡大していきたいと考える会社にとっては大きなメリットになることでしょう。また、OTC販売のノウハウニーズも高まっています。調剤だけでなく幅を広げた経営を意識する経営者も増えているようです。

必要期間

ここでは、簡単流れと期間、そして長引く事由を紹介します。

最短

最短で3ヶ月と考えてください。簡単に流れをいうと、初回説明、秘密保持契約、資料準備、情報整理、譲受候補探索、意向表明、基本合意、調査、条件調整、弊害解決、最終合意、譲渡。という流れで、特に時間を要するのは、資料準備と調査、弊害解決です。

短くて3ヶ月

 

以上の3つに手こずると3ヶ月では終わらなくなる可能性が高いです。

では、どんな事が起きると長引くのでしょうか。例を挙げて説明します。

長引く要因

社長の迷い

長く長引いてしまう1番の要因は、これです。オススメは全くできません。M&Aは期間が伸びれば伸びるほど譲渡価格が下がりますし、いい事がありません。絶対的な理由がない限り、早めの決断をオススメします。ビジネスにおいて、売る事を意識してる人にプラスの事象は奇跡でも起きない限り起きません。しかも、プラス事象が起きたとしても、数値に現れた結果しか譲渡価格には織り込まれない事が多いので、過度な期待はおすすめしません。

資料準備

現場に入ってしまっている社長にとって、資料準備は結構負担になる事が多いです。そもそもどこに何があるか把握していない社長も多くいます。M&Aの件にかかわらず、普段から管理はしておく方がよいでしょう。

調査

資料を準備した後、本格的な調査をする事が一般的です。この調査では社長立会いのもと行われる現場調査に2、3日。結果報告の準備に1、2週間ほどの時間をおかけます。この調査のポイントは、第三者が行うものなので、時間を短縮したりするのは難しいということです。

 弊害解決

M&Aをする際、進行を妨げるなにかしらの問題があります。その問題は第三者が関与している場合が多いので、時間がかかります。しかも、その第三者の数が多いほど、長い時間がかかります。弊害例を以下に挙げます。

  • 賃貸借契約関係
  • 処方元医師関係
  • 行政許認可関係
  • 従業員関係
  • 株主関係
  • 親族関係
などなどです。基本的にはこれらの関係者の方々の反対にあいます。もし、M&Aを検討しているのなら一度振り返ってみておいてもいいのかもしれません。

価値、簡単チェック

  1. 直近の損益計算書と貸借対照表を用意します。
  2. 貸借対照表の純資産額をチェック※①します。
  3. 損益計算書の販管費項目の見直しをします。
  4. 節税目的の経費額を引いて下さい。
  5. 社長個人利用の経費額を引いて下さい。
  6. 違反行為にかかる経費額を引いて下さい。
  7. 不要な役員報酬額を引いて下さい。
  8. 販管費を計算し直し、営業利益を出してください。
  9. その営業利益を4倍した額をチェック※②して下さい。
  10. チェック①②した純資産と営業利益(×4)を足した額が価値の目安です。

免責

市場は常に変化しておりますし、譲渡価格を決めるのはあくまで買主です。また、現在、厚労省等の意向の変化などにより買主の意向や価格の算定基準も大きく変わる事があり得る状況です。よって、今回紹介した計算式や考え方は全てのケースに当てはまるものではありません。それをご了承した上で参考にして下さい。つきましては、筆者は一切の責任を負いかねます。よろしくお願い申し上げます。