このニュースを考察してみたいと思います。
神奈川県警茅ケ崎署は平成29年4月15日、勤務先病院から抗がん剤を盗んだとして窃盗容疑で、茅ケ崎市立病院の薬剤師、石川賢悟容疑者(32)を逮捕した。
産経新聞
日本経済新聞
勤務先で抗がん剤窃盗容疑 茅ケ崎の病院、薬剤師逮捕 :日本経済新聞
この行為の目的は転売によるお金の入手と考えられます。医薬品の通常の流通とは異なる流通経路で転売をしようと計画していたと考えられます。
通常、医療用医薬品の流通ルートは以下の通りです。
医薬品製造メーカー
↓
医薬品卸業者
↓
医療機関
↓
一般人
しかし、よくある話で裏ルート的な流通も存在します。(※裏と表現しますが、法に違反していない場合も多くあります。法的にはグレーゾーンと言われる範囲なのではないでしょうか。)
それが「現金問屋」と言われる存在を通す流通です。
現金問屋
世に発表しなければいけないものではないので、あまり知れ渡っていませんが日本には無数存在します。いろんな方法で医療用医薬品を仕入れ、医療機関へ売却するのです。医療機関にとって怪しげな現金問屋から仕入れるメリットは価格です。有名な医薬品卸業者から仕入れるよりも低価格で仕入れることができるのです。名前に現金がつく理由はその場で現金と引き換えに薬を買うからです。
この容疑者は抗がん剤を盗んだということですが、抗がん剤は高額のものが多いので、抗がん剤の成分を狙って盗んだというよりも、高額なものを狙ったと考えるのが普通でしょう。同時に使用することのない複数の種類の抗がん剤を盗んでいることもあり、身内のための犯行とも言いづらいと思います。
この事件の肝は「監視カメラ」ではないかと思っています。今回、容疑者として特定できた根拠は監視カメラと考えられています。容疑者が特定されなかったらどうなっていたでしょうか。おそらく、こんなに大きなニュースにもならなかったかと思います。そして、薬剤管理庫に監視カメラがちゃんと付いている医療機関はどれだけあるでしょうか。あまりないと思われます。つまりは、、、このような事件は日本各地で起きてるのではないでしょうか。容疑者が特定できたからこそニュースになった。そんな気がしてなりません。さらに、特定できてしまったから病院の名前が公表され、小さいかもしれないが風評が流れることになる。犯罪を防ごうとすると、より悪い方向に働いてしまうのが今の流れになっていると感じます。どうにかならないのでしょうか。
一つ言えることは、少々悪いイメージを持たれてしまった「茅ケ崎市立病院」ですが、犯罪に目を瞑る(つむる)ことなく、公表したことはいいことではないでしょうか。以後、間違いなく管理を強化し、二度とこのようなことが起きないようにすると思います。
同じような事件が起こらないことを祈ります。