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このページでは、市販の目薬の8割に入っていると言われる「塩化ベンザルコニウム」について、どんな添加物なのかを、できるだけわかりやすく薬剤師がご紹介します。
1.簡単に言うと
2.詳細情報
塩化ベンザルコニウム
塩化ベンザルコニウム(えんかベンザルコニウム、benzalkonium chloride)は、陽イオン界面活性剤の一種。示性式が C6H5CH2N+(CH3)2R•Cl− (R = C8H17 ~ C18H37、長鎖アルキル)と表される四級アンモニウム塩の混合物。水溶液は日本薬局方収載医薬品で逆性石鹸として殺菌・消毒用に用いられる。
コンタクトレンズとの関係
コンタクトレンズ用液は防腐剤として0.002%から0.01%の塩化ベンザルコニウムを含んでいる。各種点眼薬にも防腐剤としてベンザルコニウム化合物が添加されるが、ベンザルコニウム化合物はコンタクトレンズに吸着されやすく、またベンザルコニウム化合物を吸着してしまったコンタクトレンズをそのまま使用していると角膜上皮を障害するので、コンタクトレンズを装着したままでベンザルコニウム化合物を含有した点眼薬は使用することができない。0.04%から0.05%の溶液は角膜上皮障害を引き起こしやすい。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』※一部抜粋
3.メリット
ベンザルコニウムを含有することによるメリットは以下の通りです。
・目薬内での細菌増殖を抑え、有効期間を伸ばす。
通常、市販されている目薬の多くの使用期限は約1年です。期限が長いことは、利用者にとってありがたいことであり、利便性にも大きく影響します。仮に含有していないとなると、期限が極端に短くなり、昨今市販で見るお手頃な「量」は販売できなくなり(もっと少ない量で販売せざるを得ない)、医薬品製造メーカーも採算を確保しにくくなってしまい、価格を上げざるえなくわけです。つまるところ、消費者としては安く、長持ちする目薬が手に入るというメリットがあります。ちなみにベンザルコニウムは他の防腐剤よりも効果があるので、よく使われているのだそうです。
4.デメリット
ベンザルコニウムを含有することによるデメリットは以下の通りです。
・角膜障害を起こしやすくなる
正直なところ、ベンザルコニウムは人体に直接良い影響を及ぼすことはありません。作用機序としてベンザルコニウムは細菌の細胞膜を変性させると上で述べましたが、実は人の細胞膜にも作用します。角膜のタンパク質も変性させてしまうので、炎症が起こります。例をあげると角膜炎をおこし、症状としては「痛み、ゴロゴロ感、充血」が現れます。つまるところ、人にとっては害なのです。下記に紹介する眼科の先生も述べていますのでよろしければご覧ください。
注意したいのは、角膜障害は必ず起こるものではないということです。適正な使い方をすれば、問題なく使用できることが確認された上で販売されていますので、その点はご安心下さい。
また、コンタクトレンズに吸着しやすい性質を持っているため、コンタクトレンズ着用時は原則使用してはならないので注意が必要です。
5.どの対応がベスト?
これまでの説明で、避けて通れない良い面、悪い面がある事がわかったかと思います。通常、悪い面を排除することを考えるかと思いますが、ここでは、薬剤師としてどの対応がベストなのかをご紹介します。
5.1 防腐剤フリーを使う
やはり1番の対応は防腐剤入りの目薬を使わないことでしょう。技術(特に容器の技術)も進歩し、だいぶ多くの防腐剤フリーのものが出てきました。ちなみに本サイトで紹介する目薬は、全部防腐剤フリーの中から厳選して紹介していますのでよかったらご覧ください。
また、最近ではより安全性を高めるため、使い切りの目薬も多く販売されるようになりました。衛生面でいうと、これに勝るものはないと思いますので、気になる方は併せてチェックしてみて下さい。
5.2 たくさん使わない
お気に入りの目薬ってありますよね。防腐剤が入っているけど使いたい!という場合の考え方です。正解としては、無駄に多く使用しないことです。ベンザルコニウムの人体への悪影響度合いですが、単純に量に比例します。使えば使うほどリスクが高まりますので、決められた量の使用を守るようにしましょう。
6.参考サイト
ベンザルコニウムをもっと知るために参考になると思ったサイト(外部)は以下の通りです。よろしければご覧ください。
参考 川本眼科だより(ベンザルコニウム)医療法人川本眼科 参考 塩化ベンザルコニウムウィキペディア(Wikipedia)
以上、「ベンザルコニウム(目薬の防腐剤として)とは」でした。