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ここでは、調剤薬局によってお薬代に差が生じる理由について薬剤師が解説します。
そもそも、調剤薬局によって薬代が違うなんて知らなかったっていう方が多いと思います。実際にそれぞれ違うので、薬代が異なる理由をこのページでしっかり理解し、損しない調剤薬局選びをしましょう。
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目次
誰が対象になるの?
あまり聞いたことがないので、自分には関係ない話かも?と思う方も多くいらっしゃるかと思いますが、病院に通う方の8〜9割くらいの方に影響する話なので、ここでしっかり認識しましょう。
処方箋薬の支払いの際に「自己負担額」がある方、全員です
つまりは、調剤薬局でお会計する人全員ってことですね。対象者が多いので、逆に対象ではない方を説明した方がわかりやすいかもしれません。対象にならない方は、例えば、自己負担なしの子供や生活保護者などです。
調剤薬局によってなぜ差がつくの?
次に本題ですが、結論だけ初めに言っておくと、調剤薬局によって「基本料」が異なるからです。差が出る理由は少し複雑で、その調剤薬局の会社規模や、医療費削減への貢献度、地域への貢献度によって基本料が変ってきます。
理解を深めるために、薬局でかかる費用の構成を確認してみましょう。
処方箋薬の価格構成
まず前提ですが、ここでいう処方箋とは、病院やクリニック(診療所)の医師が発行した処方箋を指します。
全体感を把握するには、一枚の処方箋を分解する形で読み解くと理解しやすいので、一枚の処方箋を取り上げてみました。
図に沿って説明していきます。まず全体ですが、処方箋は「技術料」と「薬剤料」によって構成されています。
技術料
技術料は大きく3つに分かれ、基本料、調剤料、薬学管理料で構成されています。
薬剤料
次に薬剤料ですが、ほとんどは薬剤料で構成されています。国で定められた薬価と錠数の掛け算で金額が決まります。特定保険医療材料とは、インスリン注射薬と合わせて出される注射針が一例です。原則、どこの調剤薬局に行っても同じ価格と考えていいものです。
基本料の内訳
次に気になるのは基本料の内訳だと思います。簡単に図にしてみました。
図の通り、基本料は、調剤基本料、後発医薬品調剤体制加算、基準調剤加算と大きく3つに分けられます。それぞれ5、4、4種類あり、それぞれの掛け合わせで全68パターンあるというわけです(重複控除)。簡単にそれぞれの特徴を説明します。
調剤基本料
名の通り、基本料です。主に所属するグループ(会社)の規模によって区分けされています。大きいグループになればなるほど低く設定されています。
※他にも要素はあります
後発医薬品調剤体制加算
ジェネリック医薬品(後発医薬品)の調剤割合によって区分けされています。使用割合が高い薬局ほど高く設定されています。残念ながら、あなたの処方箋薬の中に後発医薬品が含まれているか否かは関係ありません。
ジェネリック医薬品を多く使用している薬局は基本料が高くなる仕組みです。
地域支援体制加算
薬局として地域に貢献し、高機能な薬局が算定できる加算です。24時間体制や在宅医療、薬の在庫品目数など国が定めた値をクリアした薬局だけが算定できる項目です。算定するかしないかの二択です。
専門的な話が多かったかと思いますが、以上が基本料に差が出る理由でした。簡単にまとめると、あなたの薬に関係なく、あなたのいく薬局がどのような薬局なのかで基本料が決まるということです。
薬局によってどのくらい差がつくの?
次に、もっとも気になる疑問であろう価格差です。
結論からいうと、同じ「処方箋」でも出す薬局によって最大1,120円の差があります。(この金額は健康保険適用前の金額です。自己負担割合によって実際に支払う金額は変わります。)
基本料の組合せ全68種類をグラフにすると上の図になり、70〜1,190円になります。この金額は健康保険適用前の金額なので、自己負担割合によって実際に支払う金額は変わりますが、バカにならない差と言えるでしょう。
あなたの薬局の基本料はいくら?
上の図で、薬局によって基本料が異なることがわかったと思います。さて、次に思う事はみんな同じですね。
基本料はいくらなのか??
基本料の調べ方①
1つ目は、薬局でもらった領収書・明細書を確認する方法です。
薬局でもらう領収書や明細書には、下にある「図:3」の中のどれかの金額が書いてあると思いますので、自分で見つけてみてください。足していったものが基本料総額になります。まとまって書かれていない場合もありますので、若干わかりにくいかもしれません。おすすめは次の調べ方です。
基本料の調べ方②【推奨】
2つ目は、基本料まとめサイトで確認する方法です。
厚労省から発表される基本料を独自手法でまとめてみました。Google mapに全薬局をプロットしてありますので、行きつけの薬局だけでなく、近くの薬局の基本料も確認できます。ぜひ、確認してみて下さい。下記の記事の通りです。
病院に通っている方はぜひご確認ください
最後に、大事な話
今回は「基本料」を取り上げ、料金の違いを説明しましたが、実はこの差は、患者へのサービスの質の違いから生まれるものではありません。つまりは、基本料が高いからと言ってサービスが良い薬局であるとは言えず、逆に基本料が低くてもサービスの良い薬局は存在するということです。その証拠に、全ての薬局が高いレベルの質であるべきとの国の方針もあります。
基本料が低い方からと言って
サービスが悪いわけではない
と言う事で、サービスの良し悪しは「人」によって異なると考え、自分に合うか合わないかは実際に薬局に行って、担当の薬剤師に会ってみるしかないということになります。「とにかく安いところが良い」「基本料ちょっと高いけけど、この薬剤師さんが良い」などいろんな考えがあるかと思いますが、今、薬局利用者さんが良い意味で薬局を選べる立場にありますので、自分に本当に合った薬局を探してみてはいかがでしょうか。
以上、「【豆知識】同じ処方箋でも持っていく調剤薬局によって料金に差が出る理由【薬剤師監修】」でした。
[…] 前回は、同じ処方箋薬でも持っていく薬局によって「実際に支払う金額」に差が出る理由というテーマを取り上げ、調剤薬局によって「基本料」が異なり、その数は40通り(110〜1,030円)もある事を紹介しました。 […]
[…] 本当です。上の表を見てお気付きになった方もいると思いますが、調剤基本料は全部で5種類あり、薬局それぞれで異なります。違いが生まれる差は様々で、詳しくは(こちら)をご覧いただきたいのですが、実際、隣同士の調剤薬局でも調剤基本料が異なるのは良くあることです。 […]
[…] 前の記事では、同じ薬でも薬局によって値段に差が出る理由と言うテーマを取り上げ、薬局によって基本料が異なり、基本料が40通りもあり、その幅は90円〜1,030円もある事を紹介しました。 […]
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