薬剤師が「処方箋の疑問」について、詳しく解説します。
実は今回の疑問、けっこう悩んでる人多いらしいです。つまり、薬をもらわずに済まそうとしている人が結構いるってことなんですが、みなさんはいかがでしょうか?お薬はちゃんと飲まないとダメですよ〜。
よくあるのはこのパターンかと思います。飲み忘れの薬があり、しかも同じ薬が処方されたとき「勿体ないな〜」ってなりますよね。
処方されるのはいいのですが、念のため感が強い時ってありますよね〜。そんな時、飲まなくてもいいのでは?と思ってしまいますよね。※医師が処方する場合、原則「念のための処方」は起こりえません。もし疑問に思うようでしたら、医師にしっかりと質問して納得する形をとりましょう(薬剤師目線)
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目次
処方箋を薬局に出さない場合バレるのか
まずは、処方箋を薬局に出さない場合、どうなるかについて説明します。(処方箋を薬局に出したは良いが、その後、薬を取りに行かなかった場合については後ほど説明します。すぐ見たい方はこちら。)
処方箋を出さないことを続ければバレる
さっそく答えですが、続ければバレます。以下、詳しい答えと補足です。
断言はできませんが、感覚的には1回だけならバレない可能性もあるかと思います。続ければ、そのうちバレるでしょうという答えがベストだと思います。
どうやってバレるのか?
以下、医師にバレる場合の3ケースです。
- お薬手帳を医師が確認した時
- 薬局から後発品変更の連絡がない事に気付いた時
- 保険支払機関から医師に確認が来た時
お薬手帳を医師が確認した時
これは次回の診察時の話です。診察する際、医師は患者さんが、他にどんな薬を服用しているかを確認する必要があり、原則毎回お薬手帳を確認します。なので、そこに前回の処方薬の記載がなかった場合、医師は気付く可能性があります。
ただし、そもそも前回処方時にお薬手帳を忘れた場合、その時の薬は記載されない事になるので、全部が全部、薬をもらっていないとは判断できない状況という事になります。さらにいうと、そもそも、お薬手帳を所有していない場合、医師は全く気付く事ができません。)
薬局から後発品変更の連絡がない時
意外と知られていない事ですが、患者自身で薬を選べる種類の処方箋(ジェネリックのこと)だった場合、患者さんが選んだ後発品を医者に報告する義務が薬剤師にはあります。その報告がない=薬を渡してない、という事になり、医者が気付く事になります。
ただし、実際、その報告を省略していたり、報告されていたとしても医師がその変更を全て確認しているかというとそうでもないと考えられます。なのでこの場合、医師が自発的に確認しなければ気付かないとも言えるでしょう。
保険支払機関から確認が来た時
上2つは医師の自発的行動による気付きですが、この場合は第三者による気付きですので、バレる確度は高くなると考えた方が良いでしょう。
通常、保険支払機関は病院と薬局の記録の統合検査※1を行います。処方箋を薬局に出さないという事は、「医者は処方箋を出したと記録しているのに、薬局には薬を出したという記録がない」ということになります。そして、医者は処方箋発行料を請求していますので、保険支払機関としては医者が不正請求を行なっているのでは?と疑いを持たざるを得なくなり、確認のため医者へ声がかかることになり、その時点でバレるのです。
流れとしては、「お宅の病院にかかったAさんですが、発行されたはずの処方箋がどこの薬局でも使用されていないみたいですが、本当に発行していますでしょうか。」といった流れで質問がきます。
以上が、医師が気付く場合の3ケースでした。
しかも、医師が自ら調査すれば必ずバレる。
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薬を取りに行かない場合バレるのか
次に、処方箋を薬局に出したは良いが、その後、薬を取りに行かなかった場合の話です。この話は視点が2つありますので、分けて説明します。
- 医者にバレるのか?
- 放置するとどうなるのか?
医者にバレるのか?
結論としては、これも続ければバレるのは間違いないのですが、出さない場合よりもバレる確率は高くなるかと思います。ポイントは、薬局の対応です。処方箋としては結果的に使ってないのと同然ですから、最初に説明した薬局に出さない時と同じ事象が起きます。加えて今回は、薬局に処方箋を渡してしまっているので、薬局の対応によりバレる確度が変わります。薬局の対応は以下の通りが考えられます。
- 患者さんに問い合わせる
- 病院に確認する
- じっと待つ
患者さんに問い合わせる
処方箋を預かってしまっている薬局側としては、いつ患者が来ても良いように当然薬の準備をしてしまいます。ですが、いつまでもストックしておくわけにはいきません。そこで、患者さんにいつ来るのかの確認(電話等)を行います。
病院に確認する
患者さんに連絡がつかない場合は、薬局側としては処方箋が発行された病院に確認をとるしかなくなりますので病院に問い合わせをし、その際に薬をもらってないことがバレます。
じっと待つ
正しい行動かは置いておいて、患者さんが来るのをじっと待つ薬局もあります。この場合は、処方箋を薬局に出さないのと全く同じ状況になるかと思います。
よりバレやすくなる
放置するとどうなる?
処方箋を薬局に出したものの、その後、薬を取りに行かないとどうなるかですが、「薬局の対応による」が答えです。
先ほども言いましたが、処方箋を預かってしまった薬局側としては、いつ患者が来ても良いように薬の準備をします。ただし、いつまでもストックしておくわけにはいかないので、行って期間を超えると分解してしまいます。期間は薬局によって異なりますが、2週間〜1ヶ月程度が主流ではないかと思われます。
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処方箋の有効期限が切れたらバレるのか
最後に、処方箋の有効期限が切れた場合の話です。
処方箋の有効期限が切れた時の対処法とやってはいけない行為【木曜日は要注意】 有効期限が切れてしまった後の対応はこちら
処方箋をどこにも出していない場合
この場合、バレません。
処方箋の有効期限を管理する仕組みやその対応を取っている医療機関はおそらく存在していないので、有効期限を過ぎたことを把握する人は本人以外に考えられません。
処方箋を薬局に出してしまっている場合
処方箋を薬局に出し(FAXや写メールも含む)、期限内に薬を取りに行かなかった場合のことを指します。
この場合、薬局には確実にバレます。そして医者にバレるかは薬局次第となります。ちなみに、処方箋の有効期限(正確には使用期間)は薬をもらうまでの期間であり、処方箋を出すまでの期間ではありません。よって、処方箋を薬局に出した場合であっても、薬を取りに行くのが期限を過ぎてしまえば、処方箋は薬局内で紙くずとなってしまうので、要注意です。
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医師の指示に逆らう前に
最後に大事な話です。隠し事はいかなる時もよくありません。理由もあります。
隠すと何が起こる?
隠したくなる気持ちもわかりますが、結構、大変なことが起こります。
- 医者が誤診する。
- 医者からの信用をなくす。
- 無駄な費用を払うことになる。
- 無駄な税金を使うことになる。
以下、解説です。
医者が誤診する。副作用も起きやすくなる
これまで説明した通り、医師はすぐに気付かない可能性があります。よって医師は、患者さんは薬を飲んでいるものとして、再診します。しかし、薬を飲んでいませんので検査結果も良くならない可能性が高くなります。結果が悪かったら、薬の増量を指示することだって容易にあります。患者さんとしては、いきなり増量状態を服用することになるのです。大変怖いものですね。
医者からの信用をなくす
これは単純ですね。今後も飲んでもらえない可能性が出てきたということで、治療方針にも混乱を与え、医師からの信頼も失うことになります。医者とは一生のお付き合いになることもしばしば。可能な限り信頼関係は維持したいものですね。
無駄な費用を払うことになる。
病院または診療所では、処方箋を発行した場合、発行料として処方箋料を算定できることになっています。つまり、その分の費用を患者さんが負担することになるのです。
無駄な税金を使うことになる。
上で記載した通り、処方箋を発行した場合、処方箋料の算定が可能となります。その処方箋料のうち一部は、税金から支払われています。日本は今、増税も難しい状況であります。その中で無駄な算定は国民医療費を押し上げることになり、それは後に自分への負担となることでしょう。
以上のようなことが起こるのです。
しないほうがいいと思いませんか?
以上、「処方箋を薬局に出さず、薬をもらわなかった場合、医者にバレるからね。」でした。
一回だけなら、、、ってダメよ。
※1:不正な点がないか双方の情報を照らし合わせる検査
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