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を考えてみました
市販の抗生物質とは
まず、市販されている抗生物質について紹介します。
市販の抗生物質の種類と数
市販で購入できる抗生物質は全部で34種類あります。内訳は「塗り薬」が8種類、「目薬」が36種類です。残念なことに「飲み薬」は存在せず、発売する予定もありません(本記事更新)。
- 塗り薬: 8種類
- 目 薬:36種類
- 飲み薬: 0種類
処方薬の抗生物質とは
風邪や風邪に似た症状で病院に行くと、かなりの確率で抗生物質が処方されるかと思います。最近では、抗生物質の必要性に疑問を持たれる医師や薬剤師も増え、処方されないケースもあるかと思いますが、それでも今なお非常に多くの抗生物質が処方されています(詳細は下記リンク参照)。
これは筆者の感覚ですが、風邪を引いて病院に行ったことのある方は、ほぼ抗生物質を服用(薬を飲むこと)した経験があるのではないでしょうか。ここでは、代用薬を考える前に、皆さんの知っている(心当たりのある)抗生物質を一部ですが紹介したいと思います。
自分の知っている抗生物質を簡単に確認してみましょう。
処方薬としての抗生物質の代表例
厚生労働省が集計・加工しているNDBデータをもとに使用金額が高い順に並べてみました。
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
商品名に続き、( )内に成分名を表記しています。成分名はジェネリック医薬品(後発医薬品)の商品名としても使われていますので、その点も要チェックです。
- フロモックス(セフカペンピボキシル)
- メイアクト(セフジトレンピボキシル)
- ワイドシリン(アモキシシリン)
- サワシリン(アモキシシリン)
- ホスミシン(ホスホマイシン)
- ファロム(ファロペネム)
- オーグメンチン(クラブラン酸、アモキシシリン)
- トミロン(セフテラムピボキシル)
- ケフラール(セファクロル)
- クラバモックス(クラブラン酸、アモキシシリン)
- パセトシン(アモキシシリン)
- バナン(セフポドキシムプロキセチル)
- オラペネム(テビペネムピボキシル)
- ユナシン(スルタミシリントシル酸)
- ケフレックス(セファレキシン)
- オラセフ(セフロキシムアキセチル)
- ペングッド(バカンピシリン)
- セフニール(セフジニル)
- パンスポリン(セフォチアムヘキセチル)
- セフスパン(セフィキシム)
※上位20種類を抜粋しています。
主としてグラム陽性菌,マイコプラズマに作用するもの
商品名に続き、( )内に成分名を表記しています。成分名はジェネリック医薬品(後発医薬品)の商品名としても使われていますので、その点も要チェックです。
- クラリス(クラリスロマイシン)
- クラリシッド(クラリスロマイシン)
- エリスロシン(エリスロマイシン)
- ルリッド(ロキシスロマイシン)
- ジスロマック(アジスロマイシン)
- マインベース(クラリスロマイシン)
- ロキシスロマイシン(ロキシスロマイシン)
- ジョサマイ(ジョサマイシン)
- クラロイシン(クラリスロマイシン)
- アセチルスピラマイシン(スピラマイシン)
※上位10種類(20種類もないため)を抜粋しています。
合成抗菌剤
商品名に続き、( )内に成分名を表記しています。成分名はジェネリック医薬品(後発医薬品)の商品名としても使われていますので、その点も要チェックです。
- ジェニナック(メシル酸ガレノキサシン)
- グレースビット(シタフロキサシン)
- オゼックス(トスフロキサシン)
- クラビット(レボフロキサシン)
- スオード(プルリフロキサシン)
- シプロキサン(シプロフロキサシン)
- アベロックス(モキシフロキサシン)
- タリビッド(オフロキサシン)
- バクシダール(ノルフロキサシン)
- バレオン(ロメフロキサシン)
- ウイントマイロン(ナリジクス酸)
- ドルコール(ピペミド酸)
- タリフロン(オフロキサシン)
※商品名、成分名ともに表記を簡潔にするため一部省略しています。
※上位13種類(20種類もないため)を抜粋しています。
主としてグラム陽性/陰性菌・リケッチア・クラミジアに作用するもの、主として抗酸菌に作用するもの、その他の抗生物質製剤(複合抗生物質製剤を含む。)、サルファ剤は割愛します。
抗生物質の代用薬はあるのか?
いよいよ本題ですが、抗生物質の代用について考えてみたいと思います。
自分でも長いこと考えてみました、薬剤師の先輩方にも相談してみました、関連資料を読みあさってみました、ネットでググりまくってみました。
薬剤師としての結論ですが、
残念ながら、抗生物質の飲み薬の代用薬はないという結論になりました。
「ない」と考える理由
薬剤師として「代用薬はない」と考える理由ですが、理由はシンプルです。それは、市販薬に飲み薬の抗生物質という「ジャンル」自体が存在しないからです。
市販の抗生物質に「塗り薬や目薬」がありますが、効能効果ともに飲み薬の代用となるものはありません。当たり前ですが、外用薬を服用しても何の意味もなく、むしろ副作用等が起きる可能性しかありませんので決して服用してはいけません。
また、抗生物質・抗菌剤とは、菌を殺菌したり、除菌したり、増殖を抑えたりする効果を持つ薬を指すわけですが、他のジャンルにこのような効果を発揮する薬はありません(当たり前の話ですみません)。
例えば「ムコスタ」という薬。この薬の成分はレバミピドといい、非常に多く処方(胃薬としてNo.1)されている薬ですが、市販薬は存在しません。ですが、似た効果でこれも多く処方されているセルベックスという処方薬には市販薬「セルベール」が存在するのです。この場合、ムコスタ(成分名:レバミピド)の代用薬として、セルベール(テプレノン)が候補としてあげられるわけです。
このように、抗生物質の飲み薬の中でも市販薬として存在しないものと、存在するものがあれば代役として使用できる可能性があるわけですが、抗生物質の飲み薬は全くないので、代用するにも仕方ないというわけです。
抗生物質の代用薬に近いもの
抗生物質の市販での代用薬はないと先ほど述べましたが、「殺菌する」という点で、気になる商品がありましたので、ここで紹介します。
のどぬーるスプレー
抗生物質ではないのですが、抗菌作用を持つとされ、ある程度のエビデンスがありそうな商品があったので、紹介します。繰り返しになりますが、この商品は「抗生物質」ではありません。また、治療ではなく予防的利用の目的が高いとされる商品です。
意外だったかもしれませんが、CMなどで有名な「【第3類医薬品】のどぬ〜るスプレー」です。この商品の主成分は「ヨウ素」と言われる殺菌消毒成分で、のどに付着したウイルスや病原菌を、殺菌・消毒する効果があります。
のどぬ〜るスプレー(ヨウ素)についての情報がありましたので、少し取り上げてみたいと思います。
どのような働きで効果を発揮するのですか?(アズレンスルホン酸ナトリウムとの違い):小林製薬
五反田なると耳鼻咽喉科/院長 鳴戸先生に聞く。のどの痛みの予防法と対策とは?
こじらせないための対策は?
「のどに付着したウイルスや病原菌を、殺菌・消毒する」というのは、のどの違和感や痛みをこじらせないための、対策のひとつ。そして、殺菌・消毒に有効な成分のひとつに「ヨウ素」があります。「ヨウ素」というのは海藻類にも多く含まれる天然成分で、古くから殺菌・消毒に使われてきました。
まずはのどが痛くならないように、のどを乾燥させないことと、免疫力を高めることを心がけましょう。そして、「あれっ?なんとなくのどがおかしいな」と感じるくらいの早めのタイミングでの対処が大切ですよ。
※この記事はYahoo! JAPANに2018年10月に掲載された記事の転載です。
殺菌消毒成分の”ヨウ素”に、のどから感染するウイルスを幅広く殺菌できる効果を確認
ちなみに、ここで取り上げる商品は「ヨウ素」を含む商品です(ポピドンヨードでもありません)。「のどぬ〜るシリーズ」は何種類も存在し、ヨウ素を含まない商品も多く存在しますので、選ぶ際は成分を必ず確認してください。
のどぬ〜るスプレー(ヨウ素)の紹介は以上になります。抗生物質の代用薬としての使用は難しいと思いますが、普段からの風邪などの予防としては、効果を期待できるのではないかと考えます(長期連用は避けてくださいね)。昔から重宝されてきた、うがい薬の延長線上と考えれば、腹落ちしやすいのではないでしょうか。
まとめ
結論としては、飲み薬の抗生物質においては、市販薬としての代用薬はないということになります。
風邪のひき始めに抗生物質の服用を希望される方は、多くいると認識していますが、抗生物質の服用は医師の指導をしっかり受けた上で開始しましょう。
また、風邪の症状を抑えたいという方は、むやみに抗生物質を服用するのではなく、それぞれの症状にあった薬を飲むことを心掛けましょう。
以上「【薬剤師目線】飲み薬の抗生物質の代わりになる市販薬はあるのか?代用薬となる商品を考えてみた」でした。